Sunday, 29 November 2015

こん平師匠の「ハイ!」と授業の「身体性」

こん平師匠の挙手・返事

最近の pastimeの愉しみの一つは、先代の圓楽師匠(五代目)が司会の頃の笑点の動画を見ること。
懐かしいねぇ、青春時代を思い出すねぇ( ̄▽ ̄)

で、余暇として見ているのではあるけれども、通しているのは教師の目。
たい平師匠に毒を盛られて現在は高座復帰を目指して闘病中の、林家こん平師匠手の挙げ方・指名された時の「ハイ!」の返事が素晴らしいと思います。

まっすぐ手を挙げなさい」とか、「元気よく返事をしなさい」などと言うよりも、「こん平師匠になりなさい」で、具体的かつ立派なモデルになるのではないでしょうか?

【動画 0:21あたり】


授業の成功を左右する「身体の構え」

落語でも英語でも、芸を磨くに当たって本来最初に考えるべきことは、師弟が姿勢を正し・挨拶を交わし・目と目を合わせる「身体の構えにこそあるだろう。

個人的には、Skypeレッスンや動画配信レッスンでは、場合によっては生徒の姿が見えないだけに、尚更この身体性を意識するようになった:通信状況の相性により、ビデオ通話ではどうしても立ちいかない…という場合は別として、可能な限りはお互いが目と目をつないで授業を行うに勝ることはない。

また、もちろん受講環境やレッスン形態によるのだが、Skypeと別の何か(あたしの場合だと Google Driveの画面共有が多いか)を開いて受講する時は、画面半分はSkypeを残しておくことを勧めたい。いわゆる「ワイプ」のような小窓の画面も表示されるが、やはりあれだけだと、体を向き合わせて稽古をつける感覚が生まれにくいように思える。

Hirohito自身も、生徒の顔は最低でも画面半分を占めるように設定し、発音を特に注意して見る時には全画面表示に切り替えている。

紆余曲折・試行錯誤を経て、最終的には chalk & talk(マーカー&ホワイトボード)形式に落ち着いたのも、授業の臨場感・身体性の一環ということになろう…Skypeの画面を大きくしないと、板書が見えないでしょ?( ̄m ̄〃)

何をどう教えるか以前に、姿勢・挙措動作・挨拶・返事・アイコンタクト授業に臨む身体を整えてこそ。学習効果というものを積み上げるためには、身体性という強固な土台が欠かせないと、Hirohitoは考えています。

☆Here is the Path to Wonderland★

そして、あたしの生徒たちが、揃いも揃って「チャラーン!」と言うようになったりして( ̄▽ ̄;)


Friday, 27 November 2015

Misleading

発音を細部まで「完璧に」しようとするほど、単語単位の発音に気持ちが向いてしまい、ブツ切り・全単語を強く、同一リズムで話してしまう(だから、「完璧な」発音など求めずに、テキトーに通じる発音でお茶を濁しましょう)…という趣旨に読めてしまうブログ記事を見かけたのだが…( ̄ω ̄;

機能語の弱形を低く・短く・あいまいに発音するのと、英語の発音学習をあいまいで済ませていい、というのは(当然ながら)全く異なる。

あいまい母音が確固たる唯一の音価を持っていない(話者や環境によって大きく違って聞こえる)ことと、1つひとつの発音をモデルと同じように完璧に再現しようとすることは(当然ながら)矛盾することではない。

もしも、発音にこだわることで、フレーズ単位・文単位の強弱リズムヤプロソディーがおかしくなってしまうならば、それは学習者が「完璧さ」について誤解を抱いているのである。そういった生徒が目の前にいるのであれば、指摘・矯正(かつ強制)によって誤解を解き、適切な箇所で完璧に弱くあいまいな発音ができるように導くのが教師の仕事である。

☆Here is the Path to Wonderland★
ほら、そこは「きちんと」弱く言え!


Thursday, 5 November 2015

TOEICの出題形式が変わるらしいけどさぁ…

「ふ〜ん(ほじほじ)」的リアクションでOK

英語ができればスコアが取れるという前提を覆すような変更があるわけじゃないんだから、天地がひっくり返るかのように騒ぎ立てるほどのことじゃないってば( ̄ω ̄)
(参考→TOEIC®テスト 出題形式一部変更について

もちろん、「TOEIC屋さん」にとってみれば、

  • 出題形式変わるぞ〜!
  • 今までの対策じゃダメだぞ〜!
  • オオカミが来たぞ〜!
  • ウチは新形式の情報をいち早く取り入れてるぞ〜!
  • こっちの水は甘いぞ〜!
  • 王様の耳はロバの耳〜!

と、儲けるために騒ぎをできるだけ大きくしなきゃならんのでしょうけれども。

この狂乱状態を見ていると、どうも「英語学習」の文脈ではなく、言ってみれば「人気ゲームシリーズの新作発売決定!」というニュースが発表されて、「それをいち早くプレイ・攻略したいゲーマー」が興奮気味に話しているだけのような印象を感じる。

ウイイレが上手くなったからってサッカーが上手くなったわけではないのと同様(「役に立つ」部分はあるだろうけれども)、TOEIC対策といってもゲーマーのような連中が攻略法を説いているような状況が主流のままでは、出題形式こそ変われど、肝心の学習者の(平均的な)英語能力は何も変わらないだろう。

形式変更→では、本物の対策とは?

今回の発表を受けての「業界」の反応をざ〜っとググってみたのですが、まぁ残念なことに、現状ほとんどが公式発表の単なる拡散と感想程度のコメントがあるばかりですね。

TOEICを(というか英語を)教えている自覚があるのなら、「では、学習者は今後どのように学んでいけば良いのか?」という部分への議論が活発になされてほしいものなのだが…

■やはり発音能力が前提

HirohitoのTOEIC対策レッスンが出す答えとしては、基本方針に一切の変更はありません。

試験問題の英文やリスニング原稿を正しい発音・リズム・イントネーションで読めるようになることにより、ナチュラルスピードで聴き取れる・英文の読解スピードが上がる
という部分を強化していくことが、引き続き一番の対策になると考えています。全体の英文量が増える方向への変更ということもあり、「たどたどしくしか読めない→時間切れ」となってしまう可能性はより高まるわけで、その対策として大前提になる英語を正しく音声化できる能力の重要性が増していることになります。

■文法力がより一層大事に

表面的には、
  • 短文穴埋め問題(Part 5)の設問数が減ります。
  • テキストメッセージやインスタントメッセージ(チャット)、オンラインチャット形式で複数名がやり取りを行う設問が加わります。
  • Elisions(省略形: going toが gonnaなど)、 Fragments(文の一部分: Yes, in a minute; Down the hall; Could you?など)を含む会話が流れます。

という変更点を見ると、「じゃあ細かい文法を勉強するよりも、実際ネイティヴが会話で使う表現を覚えたほうが良いんだ!」と考えてしまうかもしれません。

形式変更後には、TOEIC屋さんが『新形式頻出!ネイティヴが使う会話フレーズ集』みたいな燃えるゴミを数多く排出することでしょう…(-_-;

しかし実際には、これらは文法能力重視の変更なのです。

Elisionは音声的、Fragmentsは文法的な省略現象と言えますが、「省略」ということは当然その裏には「原型」が存在するわけであり、それを頭の中で復元できて初めて正しい理解に至ることができるのが省略表現です。

省略しないで言うとどのような文になるのか?・文脈上の既知情報がどのように消されているのか?・代名詞や指示語は何を指しているのか?…といった、文法力に立脚した読解(および、それをベースとした聴解)が、表面には見えにくい形ですが、今まで以上に重要度を増している、というのが今回の変更点の大きなポイントと言えるでしょう。

「意図を問う」問題のベースも発音と読解


今回の発表を見ると、TOEICが「話し手・書き手の意図を理解する」という能力を重視していることがよくわかります。
  • 会話やトークの中で話し手が暗示している意図を問う設問が加わります。
  • 文書中で書き手が暗示している意図を問う設問が加わります。

「暗示している意図=言われて/書かれていないこと」を理解するためには、「言われて/書かれていること」を手掛かりに進んでいくしかない。そしてこの力を伸ばすには、最近の英語教育では(TOEIC対策では特にだね)軽視されがちな精読が欠かせない。

一つひとつの表現に立ち止まって考え、その文が何を意図しているのかに思いを巡らすような丁寧な読みを積み重ねて初めて、深く+速く読めるようになっていくものである。

確かに今までの形式のTOEICでは、情報を「検索する」だけのような読み方でも対応できる問題が多かったが、今後はそのような小手先の芸では通用しなくなってくるわけです。

同時に発音も大事ということは、実際の新形式のサンプル問題 (PDF)を見ながら説明した方がイメージしやすいであろう。

p. 7の Question 8: Why does the woman say, "I can't believe it"? といった問題が出題されるようになるとのことですが、これは(広い意味での)音読をどれだけ丁寧に行っているか?にかかっている。

形だけの、感情も味も素っ気も塩も胡椒もない音読をただこなしているだけでは、この "I can't believe it!"を理解することは難しいかもしれない。(スクリプトを見れば難しそうには感じないかもしれないが、実際にはリスニング問題だからね)

音読ひとつ取っても、どれだけ細部にまで気を配り、話し手や書き手の意図・感情まで反映した練習を重ねているか?が本番に生きてくるであろう。


以上見てきた通り、全体としてはより本質的な「英語の」学習が求められるような変更になってくれているかな、という印象で、テストの波及効果としては好印象を持っている。

だからこそ、縁あってこの記事を読んでくれた読者諸君には、変更点を表面的にしか捉えず、本質を見誤ったような対策に走るようなことは是非とも避けていただきたい。

本物の対策はこちらで:


本物の英語教師 Hirohitoのスカイプレッスン
TOEIC Plus!
http://cafetalk.com/lessons/detail/?id=13246&lang=ja

★Here is the Path to Wonderland☆


磯野〜、野球しようぜ〜!