Friday 29 April 2016

パワプロってpawapuro?

Lineの新着スタンプの一覧に「実況パワフルプロ野球」があったのですが、そのタイトル(英語表記)とLine ID名の pawapuroが、どうにも気になる。

パワフルプロ野球を英語で書くなら powerful professional baseballだろうが、これを略すなら powerproと表記すれば良いのではないか。

まず「パワ」の部分は power-ful power部分と一致しており、音節数もpow-er | paʊ·ər | と2音節なので問題ないだろう。

さらに「プロ」の部分。英語でも proprofessionalの省略形として普通に使われており、短く言いたいという意味では | prəʊ |(1音節)なので、無駄な母音挿入がなされた puroよりもよほど好ましい。

もっとも、powerproという表記を見ると、野球ゲームというよりは何かのアプリのようなイメージが強くなってしまうかもしれない。それでも、全く意味をなさないローマ字表記より、日本語ネイティヴ以外が見てもわかりやすい表記にしておいて欲しいものである。(もっと言えば、日本語ネイティヴでも事情を知らなければ pawapuroという文字列を見てすぐに野球ゲームが想起できるかと言えば疑わしい。)

★Here is the Path to Wonderland☆
Pro意識を持て。


Tuesday 19 April 2016

【ガリレオ研究室 開校記念】初回レッスン The Rabbit Hole (50分 x2) 無料体験実施決定!

■ことばの世界への招待状

親愛なる英語学習者の皆さん、
この度ガリレオ研究室では、初回レッスン The Rabbit Hole (50分x2回)を、開校記念として特別に無料体験にて提供することを決定いたしました。

もともと、YouTubeチャンネル:Galileo's English Lab にてレッスン風景の無料公開は行っていましたが、やはり Skype個別レッスンは実際にご自身で体感していただくに勝ることはないだろうと思い、今まではガリレオの中で「決して開けることのない扉」としていた【無料体験】の扉を開けてみることに踏み切りました。

これは同時に、世間に有り余るほどに存在する「Skype英語レッスン」の中で、ガリレオ研究室が別格の価値を提供できるという自信があり、一度でもレッスンを受講していただけさえすれば、「英語・ことばの仕組みそのものを理解することで、真の意味で英語を身につけることができる」ということを必ずや実感いただける、その確信に基づいているからこそ拓くことのできた領域と言えます。

■ことばの世界への扉

さぁ、今、私たちの目の前にあるのは、魅力あふれる「ことばの世界」へといざなう扉です。

この扉を開けて、一度でも「ことばの世界」に飛び込んでしまったならば、ことばの織りなす魅力から逃れることはできなくなってしまうでしょう。

ことばの素晴らしい世界をご案内し、あなたの語学学習において全く新しい扉を開いて差し上げる…その【確固たる自信】があるからこその特別オファーです。ぜひこの機会を逃すことなく、ことばの世界を覗いてみませんか?

Galileo's English Lab
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【決定版】thanに続く代名詞の格について

than I than me より「正しい」のか?

「彼は私より年上です。」を英語で言うとき、以下の (1) を正解とする…などという時代遅れの英文法問題は、流石に最近では姿を消したのかと思いきや、「全国の学習塾関係者が一堂に会して、年に1回行われる模擬授業の全国大会」たるものの 2015年版の動画で、未だに 1970年代の英文法教育が行われている惨状を目にしてしまった。
(1) He is older than I.
(2) He is older than me.
この場合、現代英語では(特に口語では)明らかに(2) の方が普通であり、(1) を「正解・より正しい答え」と扱うのはやめた方が賢明である。

thanは接続詞か前置詞か?

日本の大学入試問題集などの解説では、「thanの後は主格 (than I など) を使うのが本来正しいが、くだけた言い方では目的格 (than me など) が多用される」という記述がよく見られる。学校の定期テストなどで than I のみを正解としてしまう教員が絶えないのも、その(悪)影響といえよう。

この「本来正しい」という言い方は、同時に than  me 型の用法が「誤用であったものが一般的に広く使われるようになった」という考え方を含意していることになる。しかし、言語学的に分析するとこのような考え方は必ずしも正確とは言えないようである。

まず、than I 型を「正しい」と指示する人たちの根拠は、than が文法的には接続詞であり、上記 (1) の英文は以下の 2文を接続した結果生じたものと分析するところにある:
(1)' a. He is X (years) old.
(1)' b. I am Y (years) old.
X>Y → He is older than am.
その後、than I という形を見て、than 前置詞と「勘違い」した連中が、
ちょっと~、than I って超ウケるんですけど~www
前置詞の後なんだから、than me じゃね?
…などと言いだした(?)のが広まって、くだけた会話表現ではthan me が使われるようになってしまった(けしからん!)
⇒ than I 型が「正しい・より正式」と捉える、という感じであろう。

しかし、上記分析を支える「thanは接続詞」論というのも、実は絶対的なものではない。
例えば Huddleston & Pullum (2005) は、前置詞の範疇を、従来の「名詞句を補部に取るもの」に加え、「節を従えるもの・補部のないもの」へと拡張した分析を展開している:
(3) 補部に名詞句:We left before [the last act].
「最後の幕の前に私たちは帰りました。」

(4) 補部に節:That was before he died.
「それは彼が死ぬ前でした。」

(5) 補部なし: I had seen her once before.
「私は、彼女に以前一度会ったことがあります。」
このような考え方に立脚すれば、He is older than I (am). でも He is older than me. でも、thanの品詞は共通して前置詞と分析され、補部の形が異なるだけということになる。同書では、than(および as)は比較節という特殊な従位節をとる前置詞と分析されている。

この比較節の中では、文脈から復元可能な要素は義務的に縮約される。上の (1)' であれば、than I (am) の後の Y years old の部分は省略されており、表面に現れることは出来ない。

したがって、than me の形は、「誤用の一般化」と言うよりもむしろ「前置詞 than の補部の再分析」と見て良いのではないだろうか。すなわち、than を前置詞と見れば、比較節の中で be動詞以降が省略された than I も、あるいは単純に目的格の代名詞を取る than me 同等に「正しい」のであり、残る問題は使用頻度と場面ということだけになる。

結果、現代英語においては than me 型が一般的に使われる形式として広く定着し、堅い文章では than I 型も用いられることがある…というのが妥当なところであろう。

また、Swan (2005) が指摘する通り、堅い文章で「than + 比較節」の形を使う場合には、動詞も伴うことが多いという事実にも注目する必要があるだろう。したがって、学習者には以下のような認識を勧めておきたい:
彼は私より年上です。
Informal: He is older than me.
Formal: He is older than I am.

(参考文献)
  • Huddleston, R. and G. K. Pullum (2005) A Student's Introduction to English Grammar, Cambridge University Press, Cambridge.
  • Swan, M. (2005) Practical English Usage, 3rd ed., Oxford University Press, Oxford.
  • 八木克正 (2007) 『世界に通用しない英語―あなたの教室英語、大丈夫?』開拓社, 東京.

■「英語」を教えよ―誇り高き95点という考え方

ここまでの検討を踏まえて考えると、「学校のテストで×にされてしまう可能性があるから」といった程度のくだらない理由のために、than me をわざわざ「訂正」して than I の形で覚えさせるというのは、現実世界でのことばの姿を完全に無視した態度であり、英語を教えているとは呼ぶに値しない暴挙である。

もちろん、諸悪の根源は than me を×にするような連中であろうが、(言語学的な分析までは知らずとも)それが文法的に問題ない・実際に世の中で使われている英語であることを知っている上で生徒と向き合っているのならば、一回限りのテストなどよりも、先々まで続く英語人生を見越して、真の意味で正しい用法を伝授することこそ責務である。

もっと言えば、
たとえテストで5点の配点となっており、 than me と書いて×にされたとしても、全体として90~95点取れるように責任を持って指導してやるから、現代英語として普通の形で書いて来い!その後の人生に何の価値も持たない5点を追い求めるよりも、誇り高く95点を取れ!!
 …と指導してこそ「英語教師」と呼ばれるに値する姿であろう。自分の profession は何であるのか、よく自問してみると良い。

☆Here is the path to Wonderland☆

He is ten years senior to me. はどうなんですか?とか言わないように。


Friday 1 April 2016

[ガリレオ研究室] April Fools' Dayに堂々開校!

■ウソじゃないってば

本日2016年4月1日、桜咲き乱れる佳き日に、ついにガリレオ研究室 (http://language-lovers-lab.jimdo.com/)による研究・教育活動がスタートしました。サイト全体としては相変わらずのサグラダ・ファミリア (Sagrada Família)状態ではありますが、最低限、レッスンの予約・提供をスムーズに行えるだけのシステムを実装し、生徒側は学習に集中していただける形まで持って行けたものと思っています。

もともと Hirohitoの生誕30周年記念プロジェクトとして動き出した独立への道は、結局準備に丸1年以上の歳月を費やすこととなりましたが、"Better late than never." (遅くともしないよりはまし)の諺の精神のもと、無事に船出の日を迎えることとなったわけです。


ことばをめぐる旅」への出発は、早くも何人かの仲間・研究員を加え、静かに、穏やかに、しかし輝かしく歩みを進め始めた。もちろん、ここからが大いなる一章の始まりであり、一人でも多くの人に、この壮大なることばの世界への旅にご参加いただくことによってこそ、ガリレオ研究室は知的探求の場として本当の意味でのスタートを切れるのである

初回レッスン (The Rabbit Hole)の紹介文にも記載している通り、
本物の学びには決して近道も裏道もないが、正しい道に進んでいくための第一歩を踏み出したいならば、物語の始まりとなる rabbit holeへ、ぜひ飛び込んでみてほしい。

■なぜ「ガリレオ」なのか?

ガリレオ先生」という teaching nameは、2013年6月より長きにわたってガリレオの Skypeレッスンを遥かモナコの地より受講し続けてくれている、ウォーキングドクター デューク更家夫人、更家由美子さんによる命名である。

※これをどこかで言っておかないと、「自称」福山雅治(探偵ガリレオ)気取りの、小遊三師匠のようになってしまうので…( ̄m ̄;)

更家さん曰く、
レッスン中の何気ない質問に対しても、一度スイッチが入れば目元が「キラリ~ン」と光った上で説明が繰り広げられ、最後に「言語現象にも必ず理由があるんですよ。」と締める姿が、ドラマ『ガリレオ』で湯川教授が「現象には必ず理由がある。」と言う姿に重なって見えた
…とのこと。もちろん更家さんご本人の努力があってのことですが、彼女の英語力の伸びを目の当たりされたご家族からも、「ガリレオ先生」と呼んでいただいていますm(_ _)m

※当ブログと相互リンクしている『巴里舎(ぱりしゃ)通信』の記事もご覧ください:
http://parischat.seesaa.net/article/383961330.html#more


更に自身としてこの命名が気に入ったのは、「それでも地球は動かない」ことばの世界を探求する者が、「ガリレオ」と呼ばれる皮肉的な面白みを感じたから。

すなわち、かつてガリレオ・ガリレイ (Galileo Galilei)は、想像を絶する迫害を受け続け、自らの生命をかけながらも、"Yet the earth does move."(それでも地球は周る)と地動説を展開した。やがて太陽中心の天体観の正しさが証明され、現代では誰もが地動説こそが当たり前のものと考えている。

しかしそれにもかかわらず、「ことばの世界」においては、この21世紀の現代に至っても、

The sun rises in the east and sets in the west.
(太陽は東から「登り」、西に「沈む」)のであり、

The moon waxes and wanes.
(月は「満ち」たり「欠け」たりする)のである。

この「ねじれ」の中にこそ、ことばの中に人間の世界観・考え方が映し出されている姿が浮かび上がってくる。このような「ことばの本質」を説明しようとする者にとって、「ガリレオ」と名付けられたのは、偶然ではなく運命に他ならないはずである。

■なぜ「研究室」なのか?

オンライン英語スクールが「研究室」を名乗るというのも、はじめて目にする人たちにとっては不思議に思うことかもしれない。もっとも、一度でもレッスンを受けてもらえれば、それが紛れもなく「研究室」であることは、いかなる説明をも超えて実感・体感していただけるものと思われるが…

ガリレオ研究室は、俗世間に蔓延するような
  • 「間違いを恐れずどんどん話しましょう!」・「笑顔でぶつかっていけば心は伝わります!」・「何よりも楽しむことが一番です♪」…といった能天気なハゲましに終始し、生徒の英語を今より良くするための手立てなど後回しな「空虚なお遊戯会
  • 「頻出英会話フレーズ」たるものを暗記させ、role playingだの何だので「英語でお喋りが出来ている」などと錯覚を起こさせるような「ど~でも英会話教室
  • 英語試験マニアによる、「最新傾向がどう」だの、「今回は珍しくこんな問題が出た」だの、「目標点が取れた・取れなかった」だの、本質的な語学力からどんどん遠ざかっていく、TOEICや英検などの「資格バカ養成所
  • 「売れている(だけ)」の市販教材を無批判に押し付け、「一冊をボロボロにすることが大切です!」などと言って生徒に苦行のようにノルマをこなすことを強いる「根性論コーチング道場
  • やれ TIMEだ TEDだ NEWS WEEKだ、聖書だ Russellだ Shakespeareだ…と、「高尚な」題材を持ってきては、平凡な脳ミソの寄せ集めが「あーでもないこーでもない」と分かったような口をきいて自己満足に浸る「意識高い系(笑)サークル
…といった類のいずれでもない。

上で「それでも地球は動かない」人間の世界観の反映として、太陽や月の例文を論じたが、あらゆる言語表現には、発話者の想いや考え方が込められている。逆に言えば、人間は自らの思考を「ことば」という媒体を使って(もっと言えば、ことばの仕組みに縛られて)伝達する。

それを正しく解読するための「手がかり」となるのが、(プロソディーを含めた)発音や、1つ1つの単語・表現、文法なのである。よってガリレオ研究室では、学習対象の言語である英語における発音・語彙・文法の仕組みを、自身が大学~大学院で研究してきた言語学的視点から解説する。また同時に、教材に出てくる英語表現については、生徒と一緒になって研究・検討を進めながら授業を展開していく。

※もちろん、その中で生徒の目標や必要に基づいて、英会話を練習したり、英語試験の対策を講じたり、TIMEや文学作品を題材に扱っていくということもあります。

このように「ことば」を意識的に捉えていくことを重ねていくことで、いざ自分が英語で話そうとするときにも、どのような指針をもって語句を並べればよいのか?なぜこのような表現方法を取るのか?といった一つひとつを、納得したうえで自信を持って導いていけるようになっていくのである。

加えて、英語学習の道を進むにあたり、それぞれの生徒が学習目標に到達するための手立ても、綿密に対話を重ねながら探っていきたい。あらゆる段階で、現状と目標との差を一歩ずつ埋めていくという、「学びの中で学び方を研究する」ことを通し、生徒が語学学習の道をやがて一人で探求していけるように育てる―こういった意味でも、ガリレオ研究室は間違いなく「研究室」といえよう。

★Here is the Path to Wonderland☆

ちなみに April Fools' Day には意図的にぶつけた( ̄ω ̄)