Wednesday, 16 August 2017

芦田愛菜さんの「Rの発音」に関して、靜先生がブログで記事にされていたので

同じ番組をガリレオも帰省中に観ました。

Rの発音に関して「舌を巻くんですよね」というお決まりのコメントが出たときには、「巻かねーよ💢」とTVの前でツッコミを入れましたよ(ー ー;)

それにしても「英語のRが巻き舌」という間違った言説は誰が広めたのであろうか…罪深い。いわゆる「巻き舌」というのは、音声学的には "voiced alveolar trill(有声歯茎震え音)"という子音で、イタリア語やスペイン語などには存在するが英語のRとは似ても似つかない(次の動画を参照):




靜先生の書かれている「『ア~r』という間抜けな反応」ということについて補足説明をしておけば、アルファベットの Rそのものの発音は | ɑː(r) |(口を大きく開いた「ア〜(r)」)であって、イギリス発音においては [r]の音すら出てこない。「日本人が苦手とするRの発音」というのは母音の【前】のRなので、いくらアルファベットの Rを「ア~r・ア~r」とつぶやいてみたところで意味がないということである。

また、何かRの入った単語を発音してみてと促された芦田さんが選んだ travel | ˈtrævl̩ |は、実際には tr-の子音結合の方が問題になるので、純粋に「Rの発音」を判定するための典型例としてはあまり向いていない。この子音結合では、最初の [t]で舌先を上歯茎につける段階から、後続の [r]の影響を受けて若干後ろ寄りに位置し、中舌面は凹状に構える。これにより、[t]が開放されると自動的に [r]に移行する仕組みとなり、発音としては「チャ行音」にかなり近く、travelなら「チェァ〜ヴゥ」のようなイメージになる(この「ヴゥ」部分が「ブル」のようにも聞こえるということ)。

とかく日本のバラエティー番組では、正しい英語発音が茶化されたり、メチャクチャな英語モドキで押し通す芸能人を笑いのタネにしたり、実際には発音や文法面でおかしな英語を話していても一見すると流暢に話しているような人が「ペラペラ」などともてはやされたりと、憂えるべき内容が多い。この状況自体は一朝一夕に変えられるものでもないが、ガリレオ研究室の投稿を目にしてくれている皆さんには審美眼を持って観ていただきたいと強く願う。

以上、靜先生のブログを読み、たまたま同じ番組に対して基本的に同じ感想を抱いたのだなぁということを思ったので、先生が取り上げられていない観点から記事にしてみました。

★靜哲人先生のブログ記事はこちら↓↓↓☆
→ Kyle's Kingdom: 芦田愛菜さんの英語 「Rの発音」トラブルみたいですね?!


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