Saturday 16 September 2017

IELTSも深いね

IELTSの問題を言語学者が見ると…?

最近、Skypeレッスンで IELTSの指導をするようになったのですが、『IELTSブリティッシュ・カウンシル公認問題集』の Listening対策 Activity 1.4 (p. 26)から早速、言語学的に分析すると深い理解が得られる例が目にとまりました:

1.4
5. You require a storage facility for a case weighing 23 kilogrammes.
7. You will also require a car park for your vehicle, registration number: YXW 6069 AK.
(※太字は筆者による)

この問題は 1~7までのリスニング問題文で「Travel agentがお客さんの旅行の予約内容・予定を確認する」という流れで話がつながっている(と解釈できる)内容。

その中で、なぜ問5では現在形の requireが使われ、問7では will requireという形になっているのでしょうか?

現在形=発話時を中心に同心円状の広がりを持って成り立つ

5. You require a storage facility for a case weighing 23 kilogrammes.
「23kgの荷物には保管設備が必要になります。」
上例の場合、現在形の使用を保証する背景状況として考えられるのは、
  • お客さん側からの申し出 or ホテルのルールとして、「(持ち込む予定の 23kgの荷物に対して)保管設備が必要」という状況は、発話時を中心に常に成り立つ事実として扱うことができる
というものである。

will(法助動詞)=話し手の判断を表す

7. You will also require a car park for your vehicle, registration number: YXW 6069 AK.
「お車に駐車場も必要になります。お車の登録番号は YXW 6069 AKです。」
一方こちらの例で用いられている法助動詞の willは、話し手の予測・判断に基づく発話であることを示している。よって読み取れる状況(一例)というのは、
  • 話し手である travel agentは、このお客さんがホテルに車で向かうことを聞いており、その情報に基づいて「車で行くのであれば駐車場も必要になる」という自身の判断を相手に確認・念押しするつもりで述べている
といったものになる。

IELTSのバンドスコアは何のため?

もちろん、ここまで検討してきたような「深読み」をしなくても、問5では "23kg"・問7では "YXW 6069 AK"さえ聴き取って解答欄に書けば点数にはなる。

しかし、IELTS(TOEIC / TOEFL / 英検なども然り)を受験するつもりがあるのであれば、そのスコアや級を何のために求めていくのか、もう一度しっかりと見つめ直してほしい。

例えば IELTSであれば、留学や移住申請のために目標バンドスコアの達成が必要…ということになろう。そうであれば尚更、(もちろん最初のサバイバル段階ではキーワードとなる情報に集中して聴き取ることが必要な場面も往往にしてあるにせよ)留学や移住後には、上で見てきたようなニュアンスの微細な違いこそがより重要な問題となってくるはずである。

「点取り合戦」に踊らされ、解答に直接関わらない部分はどうでも良い…という取り組み方では、やはり本質から逸れていく結果になる。

今回の記事で紹介した例文は、公認問題集の中でも最初の方に出てくる、いわば基礎トレーニング問題からの引用です。そんな一見「ちょっとした問題」であっても、ことばを真摯に見つめる眼を持って見ればここまで深い。


★Here is the Path to Wonderland☆

言語現象には必ず理由がある。
テストの英文にも、そこから拡がるストーリーがある。

無味乾燥に思えるテスト問題でも、英文から読み取れる人々の息遣いが想像できるようになると学習が楽しくなりますよ!(← ガリレオの実感)



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