Thursday, 11 May 2017

/p, t, k/の帯気音を出せるようにした魔法の言葉

前回の Beauty and the Beast主題歌の記事でも解説した、無声破裂音 /p, t, k/の帯気音(説明は記事末尾にて)。
そのような発音の存在に気づくことができたら、自分で実際に正しい音が出せるようにするのが次のステップ。

帯気音は、まさに子音 /p, t, k/と母音との間に /h/のような強い息の放出を伴う発音のため、子音と母音を切り離せてナンボである。しかしながら、日本語の音節構造が基本的に
  • 子音+母音=かな1文字(例: t + a = た[ta])
である影響から、【子音を母音と切り離す】という部分に困難を感じる学習者も多い。

では、ガリレオはどのように指導したか?
以下をぜひ参考にしていただきたい。

★「/p, t, k/の後は『アイウエオ』ではなく『ハヒフヘホ』を言うつもりで!」

これが、"tea"をなかなか帯気音を伴って [tʰiː]と言えなかった生徒の発音を劇的に改善させた魔法の言葉。厳密に言えば日本語の「ヒ・フ」の子音部分は英語の /h/とは異なるのだが、/t/と母音の間に「声帯を振動させない呼気の放出」を伴う感覚を実感してもらう効果は得られる。

上のアドヴァイスに沿った練習をさせる前には、「ta, ti, tu, te, to」を超スローモーションで言わせることで子音と母音の切り離しを狙ったのだが、この生徒に関しては子音〜母音間は広がらずに単に母音部分が伸びてしまっていた。

よって大事なことは、同じ音を指導するためのアイディアを常に複数持ち、「手を替え品を替え」をできるようにしておくこと。授業をしていて常々感じることだが、どこでブレイクスルーが起こるかは、本当に生徒によって十人十色・千差万別である。

★Here is the Path to Wonderland☆

じゃんけんでも、グー・チョキ・パーの3種から選べるのでなければ勝てないでしょ。

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(補足):帯気音について

Aspiration
『絶対発音力』(靜哲人, 2009, ジャパンライム) p. 149より引用。
本文の「/p, t, k/ + ハヒフヘホ」という指導アイディアもこちらを参考にしたもの。

英語の無声破裂音 /p, t, k/の後に強勢の置かれる母音が続くとき、破裂に続いて母音に移行する間に / h /で表されるような「息だけ出している無音状態」を伴う発音。

専門的に表記すれば [ ʰ ]という記号で表される。以下の例を参照:
  • tea [iː]
  • time [aɪm]
  • park [ɑː(r)k]
  • cake [eɪk]

ただし /p, t, k/の後の母音に強勢がこない場合は帯気音とならず、例えば paper [ˈpə(r)] の2つの /p/のうち、語頭は帯気音となるが、語中は無気音(日本語の「パ」の感覚)である。

また、/p, t, k/の前に /s/がある場合は、直後に強勢の来る母音が続く場合でも無気音となる。

  • peak [iːk ] → 帯気音
  • speak [spiːk] → 無気音



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