■The Making of Harry Potter
今回の記事では、いよいよ魔法の世界へ − Warner Bros. Studio Tour London - The Making of Harry Potter の見学ツアーについて書いていこうと思う。ここではガリレオも、普段 Muggle の世界では抑えている magical power を余すことなく発揮することができるというもの。ちなみに、ガリレオは Luna Lovegood と同じ Ravenclaw 寮です。
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このツアーでは、Studio Jと Studio Kという2つの建物 (+ 中庭) を通って
- Dumbledore先生の校長室などの実際のセットを見たり、
- Hogwarts Expressに乗ったり、
- Number 4, Privet Driveの Dursley家
を訪れ(に押しかけ?)たり、
- Diagon Alleyでのウィンドウショッピングを楽しんだりすることができる。
大体のツアーでは、現地で3時間程度の自由行動になると思うが、時間配分には若干注意が必要かもしれない。なんと言っても、集合時間の7時には駐車場に戻らないと、送迎の coachは魔法のように消えてしまうと釘を刺されていたのだ。展示をじっくり見る時間は充分あったけれど、最後の gift shopは素通りする羽目になってしまった。
(その意味でも、滞在後半に Kings Cross駅(!) 直近のホテルに滞在したことが幸いした。Platform 9 3/4 のあるこの駅には、その名も The Harry Potter Shop at Platform 9 3/4というオフィシャルショップがあり、散財には事欠かない。)
■Muggle: 新語を作る仕組み
もともと 'a person who possesses no magical powers' の意味で Harry Potterに登場する muggle という単語は、2003年に英語辞書の権威である Oxford English Dictionary に収録されている。(より一般的に 'a person who is not conversant with [〜に精通していない] a particular activity or skill' の意で掲載されている。)ベストセラー小説は時代ごとに生まれるが、作者の想像力・創造力によって作られた新語が「辞書に載る」という領域にまで達するためには、やはりその作品が時代を経ても読み継がれていくと確信できるだけの魅力を放つ必要があるだろう。
文学作品から誕生した新語が英単語として定着した(よって、辞書にも収録されている)例として、真っ先に頭に浮かぶものといえば、『鏡の国のアリス』に出てくる chortle:「(ガハガハと)嬉しそうに笑う 」がある。その意味では、ハリーポッターも、世界中の子どもたちに愛される文学作品として、アリスと肩を並べようとしている様を目の当たりにしているような気になってくる。
この chortleという動詞は時代を超え、Harry Potter and the Philosopher's Stone の中でも使われている:
(Mr Dursleyが、朝「行ってきます」のキスをしようとするも、かんしゃくを起こしている息子 Dudleyの姿を見て)まだ見ぬ次の時代の名作の中では、J. K. Rowlingの創り出した単語が受け継がれるのであろうか?ことばのロマンスは尽きない。
'Little tyke,' chortled Mr Dursley as he left the house.
「しょうがない子だ」と言いながらも、嬉しそうに笑うと家を出た。
さて、muggle にせよ chortle にせよ、新語・造語とは言っても全くでたらめに生まれたわけではない。むしろ、英語の語形成の規則に基づいているからこそ、英単語として「自然に」受け容れられ、定着するのである。
Muggle の場合は、mug: 'a person who is stupid and easily deceived' に、「小さい」の意味の名詞を作る接尾辞の -le を付けて作られた単語である。
一方 chortle は「混成語 (blend)」または「かばん語 (portmanteau word)」と呼ばれ、二つ折りの旅行かばんの両側に1語ずつ単語を詰めて蓋を閉めたかのように、chuckle:「くすくす笑う」と snort:「鼻を鳴らす」を合わせて作った単語である。
夢のような魔法も、正しい呪文 (magic spell) を「正しい発音で」言ってこそ効果を発する。ことばとは、muggle の日常世界からファンタジーの世界へとも言えよう。
魔法を学ぶなら Hogwartsへ。
ことばを学ぶならガリレオ研究室へ。