■注文方法から見えてきた日英食文化の違い
Harry Potterのスタジオ見学ツアーから戻り、遅めの夕食へ。スタジオにもレストランはあったのだが、グッズショップすら素通りしなければいけなかった中、いわんや食事の暇など…という話。恐らく、時間の決まっているツアーで行く場合は、食事は別途考えた方が良いと思われる。そんなわけで、Kings Cross駅の mezzanine | ˈmezəniːn | :「中2階」の shared service yard にあるイタリアンレストラン Prezzoに入ってみる。
レストランの入り口には Please wait to be seated.「席にご案内するまでお待ちください。」と書かれている場合が多いので、waiter/waitressが来たら 'A table for 人数*, please.'と伝えて案内してもらう。(*1人ならば a table for one, 2人ならば a table for two...といった要領)
Spaghetti with King Prawnsを注文。セット内容は Classicと Lightから選べて、サラダが付いてくる Lightを頼むことにした。(Lightはサラダが付く代わりにパスタが少なめになる…とは言っても、日本の感覚からすれば「普通盛り」くらいの量はあるので、個人的にはこの選択で当たりだった。)
さて、注文の際に 'And for dessert...'と言いかけたところで、waitressに 'You can order dessert later.' と制される(^_^;
デザートは食後に追加注文するのが作法という意味なのかどうかは分からないが、海外ではこうした「暮らしのリズム」のちょっとしたズレに気づかされることが多々ある。
別段コース料理を頼んでいるわけではないが、やはりヨーロッパの食事文化の発想では、料理はコースの一環として線的に捉えられるということが基盤にあるのだろう。
一方で、和食文化の発想では、「一汁三菜」といった言い方にも表れているように、「お膳」という単位を元に面的に料理が出てくるイメージを抱きやすい。
だからこそ、「デザートを食べない」ということを表すのに、
- 日本語→デザートを抜く(面の構成要素を減らす)
- 英語→ skip dessert (順番に来るものを飛ばす)
■現実世界の英会話
パスタとサラダを食べ終え、デザートの注文に再び挑む。(ところで、追加注文システムは、もしもお腹がいっぱいになったら単純に skip dessertすれば良いだけなので、その意味でも好ましい方法なのかもしれない。)
意気揚々と、最初の段階から目をつけていた「Panna Cotta (with a summer fruit compote)をください!」と伝える。
'Unfortunately, we don't have panna cotta today.'
「申し訳ございませんが、本日パンナコッタは切らしているのです。」
DHC タマ川ヨシ子 LINEスタンプより |
'Which ones are available?'「どれならあるのですか?」とお伺いを立ててみると、要するに everything but panna cotta:「パンナコッタ以外なら全部大丈夫」ということらしい。現実世界の英会話では、型どおりの注文をして首尾よく希望が叶うばかりではない。もっと言えば、想定通りに事が進まなかった時に軌道修正できてこその語学力である。
とりあえず、'Then, let me think again.' と伝えて再検討に入る。ケーキなら、並びに takeawayの店もあったなぁ…などと思いながらも、料理も美味しかった事だしデザートも食べていく事にする。
改めてチーズケーキ(raspberry sauce添え)を注文すると、閉店が近くなったという事もあったのだろうが、今度はコーヒーマシンがもう使えないからコーヒー系の飲み物は出せないとの事。こちらとしても夜にコーヒーという気もなかったので構わないと言うと、本来 hot drinkが付くものだからということで、まさかの白湯 (;ー▽ーA
せっかくのご厚意は半分程度いただき、こうしてまたひとつ Londonでの貴重な文化体験となった夕食を、無事に済ませるに至った。