Thursday, 10 May 2018

「タウリン 1,000mg配合」と「1億語コーパス」

■ BNCの「1億語規模」とは書籍何冊分か?

「タウリン 1,000mg配合」と聞くと「疲れが取れそう!」と思うかもしれないが、これが「1g配合」と言われると途端にショボくなる。

さて、現代英語の代表的なコーパスである BNC (British National Corpus)の規模は1億語であるが、これは書籍に換算すると何冊程度だろうか?
  • 1,000冊
  • 10,000冊
  • 100,000冊
British Library
British Library


正解は 1,000冊程度に過ぎず、これは図書館どころか大学教員の研究室にある本の半分程度である。こうして見ると「1億語規模のコーパス」と言ったところで、別に「世界のありとあらゆる英語の実例が凝縮されている」というわけでもない。

近年は、単語帳やら参考書で「コーパスデータを基に云々」と謳っているものも数多く目にするようになり、語学学習者の間でも「コーパス」という用語が広く認知され、いわゆる buzzwordのようになっている。しかし、例えばデータ規模をとってみても、実態を知ると「コーパス」というものに抱くイメージとは大きく異なっていたのではないだろうか?

■ 自分で見つけたものが宝。

「コーパスを用いて〜」と標榜するのは簡単だが、大事なのは使い方

タウリン 1g系の飲み物も、使い方次第では(気休め・プラシーボ効果も含めて)全く無意味なものでもないだろう。しかし、とは言っても、疲れを回復させたりエネルギーを補給したりというところで根本的な役目を担うのは、日々の食生活のなかで摂取する栄養に他ならない。

これと同じように、コーパスも「例文補給」のための一手段として活用すべきもので、それだけを眺めていて何か事が済むという万能ツールではないのである。研究でも学習でも、「日々の食生活のなかで摂取する栄養」に相当するのは決してコーパスではなく、普段の読書や母語話者などとの会話の中で琴線に触れた実例である。

そのような読書や観察の中で、例えば「学校で習った内容とは一致しない使われ方がされているが、これはどういう事?」と疑問が生じるような例に出会った時に、(辞書や文法書と併せて)コーパスの例文も加えて考えてみるというのが有効な使い方であり、出会った例文が「宝」に変わる瞬間なのである。

☆Here is the Path to Wonderland★

イカ🦑 or タコ🐙を食え。

※本記事の内容は、平成29年10月14日(土)筑波大学にて開催された筑波英語教育学会 第37回大会における、滝沢直宏先生による特別講演「コーパスと英語の語法・文法・表現」(および『筑波英語教育』第39号掲載の 竹林尚輝氏による報告)を参考にしています。


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