しかし、断言するが、「〇〇は英語で何と言う」発想から脱却して初めて、ある程度まともな英文が作れるようになるものであるし、「こうやって言えばいいんですよ」と吹聴された表現を鵜呑みにしてこしらえたような代物は、確かに一見すると英語のように感じられるが、実態は言ってみれば「控えめに申し上げてつらたんでござる。」という感じの日本語に相当するような、奇妙で不気味なものになってしまっていることが非常に多い。
■ 英語と日本語を直接結ぶ底辺は存在しない!
当ブログでたびたび言及する、ガリレオの大学院時代の恩師の一人である安井泉先生は、様々なご講演で以下のような図を挙げ、「二つのことばを結びつけるような、三角形の底辺に相当する関係性は存在しない。『ある状況において日本語で〇〇と言うとき、同じ状況で英語ではどのように言うのか?』のように、常に『状況』に立ち戻って表現を考えなければならない」という旨のことを強調されています。これは本当にその通りで、もし「いただきます」に相当する英語表現を知りたいのであれば、食事前に英語ネイティヴが何と言うのか(あるいは言わないのか)を観察してみると良い。また実際のところ、「〇〇は英語で何て言うの?」と質問されたところで、文脈・相手との関係性・本音と建前のバランスなど、様々な要因に応じて、本当にいかようにも回答は出せうる(しかし、質問者が意図する「その状況」にぴったり合致する表現を探し当てようとすると一筋縄ではいかない)。
極端な例だが、「イギリスで見知らぬ人に助けを求める場合」であれば "HELP!"と叫んではならず、"Excuse me, Sir. I'm terribly sorry to bother you, but I wonder if you would mind helping me a moment, as long as it's no trouble, of course."と丁寧に願い出るのが作法である*し、"I love you."は「月が綺麗ですね。」と訳してこそ粋というものである( ̄∇ ̄)
↑は冗談としても、回答者が「ちょっとエエ所(小慣れた英語表現を知っている風)を見せてやろう」と色気を出せば出すほど、質問者は知らぬうちに滑稽な回答に汚染されるということが往々にして起こってしまうのである。
☆Here is the Path to Wonderland★
本当にそんな言い方してるの、見たり聞いたりしたことある?* The How to be British Collection (Martyn Ford & Peter Legon, 2003, Lee Gone Publications)
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