■ 英文読解クイズに挑戦!
〜筆者の本音は賛成 or 反対?〜
次のパラグラフを読んで、ここで説明されている内容('stress-timing'に基づいて英語リズムの仕組みを説明すること)に対しての筆者の立場を考えてみてください:In most descriptions of English pronunciation over the last seventy years the notion of 'stress-timing' is invoked to explain English rhythm; by such a theory 'stressed' syllables (including primary and secondary accents and other syllables made prominent by 'stress' alone) govern the rhythm of English utterances, an equal amount of time being said to be taken between each two stressed syllables and between the last stressed syllable and the end of the utterance,「強勢拍リズム」という英語発音に関する専門性の高い内容なので難しいかもしれないが、英文の表現から筆者がそれに賛成なのか反対なのかを読み取れるでしょうか?(なおガリレオ研究室の生徒の皆さんに関しては、初回レッスンの The Rabbit Holeで説明していることなので、内容も確認するように心がけてください。)
Gimson's Pronunciation of English 8th edition (Cruttenden, A. 2014: 271)
■ 筆遣いに現れるメッセージ
結論から言えば、上のパラグラフには "However, all attempts to show such timing instrumentally have been unsuccessful, [...]"(同上, 太字はガリレオによる)という文が続き、このことから筆者は「強勢拍リズム」の妥当性に疑問を呈している(=反対の立場)ということになる。ただ、英文読解の実力がある人ならば、Howeverという単語が視界に入る前の段階で、上に挙げたパラグラフは筆者の立場に反するものであり、したがって後に逆接の内容が続くはずという予測が立てられるのである。
なぜ、そこまでハッキリと言い切れるのか?
細かい英語表現に筆者のメッセージが込められているからである。
以下、1つずつ確認していこう。ぜひ、ご自身が判断基準とした箇所と照らし合わせて見ていってください。
In most descriptions of English pronunciation over the last seventy years the notion of 'stress-timing' is invoked to explain English rhythm; by such a theory 'stressed' syllables (including primary and secondary accents and other syllables made prominent by 'stress' alone) govern the rhythm of English utterances, an equal amount of time being said to be taken between each two stressed syllables and between the last stressed syllable and the end of the utterance,
1. In most descriptions...
(過去70年において)英語リズムに関する主流の・一般的な説明方法が「強勢拍リズム」であったということが述べられているわけだが、論文や専門書では「一般的に考えられていること」を単になぞっても意味がなく、むしろ「一般的には××と考えられているが、実は〇〇が正しい」ということを示してこそ価値が生まれる。
もちろん、100%成立するテクニックのようなものとして使えるわけではないが、1つの傾向として「一般論 vs. 筆者の主張」の対立軸で話が展開する可能性は押さえておいて損はない。
2. 引用符の使用:'stress-timing', 'stressed', 'stress'
英文において punctuationは恣意的な記号ではない。
大雑把に言っても、引用符 (quotation marks)は「引用」すなわち筆者本人ではない誰かのことばを示しており、ここでは(筆者本人の考えとは異なるものの)一般的に多用されている用語を提示するにあたり、「いわゆる (= so-called) "stress(ed)"」といった意味合いを表していることになる。
3. by such a theory
日本語で「『そのような』理論では…」という風に書かれていた場合、筆者自身の考えとの距離が感じられるであろう。英語でも同様に、例えば this theoryのようにも言えるところで such a theoryと表現しているからには、筆者がその theoryを自分自身の領域内に入れずに話している気持ちが込められていると考えられる。
4. being said to be taken
筆者自身も同じ考えであるならば、「(その理論では)〜であると言われている」などといちいち言う必要がない。by以下の箇所は、もし筆者が賛成派なのであれば、例えば以下のような英文で書かれているはずなのである:
by this theory, stressed syllables [...] govern the rhythm of English utterances, an equal amount of time being taken between each two stressed syllables [...]
※ただし、専門用語として際立たせるために 'stressed'と引用符がつく可能性はある。
■ 教師自身も常に updateが必要
ガリレオ研究室の生徒の中にはお気付きの人もいるかもしれないが、上で引用した英文の内容により、The Rabbit Holeで説明していることには若干の修正が必要になる。もちろん、これから新規受講する生徒には最新版の情報で解説しますし、継続受講生にも授業の中で指導していきますのでご安心ください(^^)
実際、ガリレオとしては、日本語ネイティヴの英語学習者に対しては「強勢拍リズム」への意識→現実に即した微調整という形で指導する方が、これを読んだ上でもなお現実的なアプローチだと判断していますし、そもそも根底が覆るような話でもないので。
それよりも重要なこととして改めて感じたのは、「当たり前」だと思って指導していることも、当たり前だと思い込み続けていてはいけないということ。やはり、学び続けることで自身を updatedな状態に保っておくことができるものである。
★Here is the Path to Wonderland☆
発音指導をきちんと行っていれば、Borrowing Ruleも stress-timed rhythmも普通に教えていることの裏付けなんだよね。(引用英文の大意)
過去70年における英語発音に関する多くの記述の中では、英語のリズムを説明するのに「強勢拍」という考えが用いられている。そのとうな理論に基づけば、「強勢の置かれる」音節(第1・第2アクセントのある音節や、「強勢」によって音声的卓立が生じる音節)が英語の発話のリズムを支配し、強勢のある2つの音節の間、および最後の強勢が来る音節と発話の末尾までの間では、(発音するのに)同じ長さの時間を要すると言われている。
Skypeレッスン初回(x2)無料体験実施中!
お問い合わせはこちら